
以前カウンセリングの際に
" なぜを5回聞く "
というお話しをしました。
そうゆう話をした上で今度は
反対のことを述べます。
結論から言えば
" なぜ? "
という聞き方は適切ではありません。
実は
「なぜ?」
には攻撃的なニュアンスが含まれており
なぜ?
なぜ?
なぜ?
なぜ?
なぜ?
5回も聞けば心理的な
圧迫感を与えてしまうんですね…
なので
「なぜ?」
という問いかけはできるだけ避け
「なに?」
「どのように?」
「どこが?」
「どんな理由で?」
といった事実と感情を安全に引き出す
言い回しへ置き換えるのが得策です。
親は子供に100回も否定する

ある幼児教育の本には親が幼少期の子供に
否定的かつ抑圧的な言葉をかける回数は
"平均で1日100回を超える"
と記載があります。
こんな否定したら子供どうかなりそうですよね。
日常的に
「~しなさい」
「~はダメ」
「なぜそんなことをしたの?」
と浴びせられた記憶は大人になっても残り
「なぜ?」
と問われた瞬間に心理的な
防御壁が立ち上がりやすくなります。
ですので大人であっても
" なぜ "
という言葉をきくと責められることを想定し
" 防御壁を築き本当のことを述べない "
ようになります。
結果、本音に触れる前に
会話が閉じてしまう・・・
カウンセリングは
相手の本心を聴くのが目的
ですから、これでは困ってしまいます。
カウンセリングの目的は
相手の“ 本心 ”と“ 理想 ”
に辿り着くことです。
ですからコチラが知りたいことを
問う前に
相手が話しやすい環境
を先につくる必要があります。
例えば
「なぜホームカラーを続けたのですか?」
は責める響きが強くなります。
「ホームカラーを続けていらした理由は何かありますか?」
「どんな背景があったのか教えてください」
のように
・What
・How
・Which
へ言い換えるだけで同じ内容でも
受け取り方は大きく変わります。
さらに
「不安に感じているのはどの部分でしょう?」
「仕上がりはどんな状態だと嬉しいですか?」
と
・場所
・状態
・背景
に分解して伺うと相手は具体的に語りやすくなり
こちらも提案の根拠を積み上げやすくなります。
言葉は矢印

カウンセリングでは対面ではなく
同じ方向に向かって座るのが理想的。
うちの場合も少しお客様よりも
後ろの位置に座っています。
言葉を矢と考えてみましょう。
正面から投げた矢は
相手の胸元に突き刺さりやすく、
斜めや横から流せば
当たりが柔らかくなリます。
ですから向かい合って質問するような姿勢より
同じ方向を見ながら並走する姿勢
のほうが同じ内容でも
受け止められやすくなります。
セット面では
・お客様の少し後ろ
・半身の位置に腰掛け
・タブレットに表示した資料を一緒に眺める
このように会話を進めると
矢印の角度が和らぎます。
視線が共有物に向くため心理的な
“ 攻撃されている感覚 ”
が減るのです。
これは相手に仮に攻撃的なニュアンスの
質問をしたとしても刺さりにくいからです。
よく人と仲良くなりたいなら
" カウンター席の予約がオススメ "
なんていったりしますね。
これは物理的な距離が近くなるからという理由もあります。
ですが両耳で聞くのではなく
片耳で聞けるというのも利点だから。
また矢印が刺さりにくいからと言えるでしょう。
また人は会話の中に悪気なく
・失言(言わない方がいいこと)
・妄言(根拠がなくいい加減なこと)
が無意識で入ってしまうものです。
コチラは悪気なくても受け手次第で
" 良くも悪くも "
捉え方が変わってしまいますから。
初対面で出会った人同士が
1時間、会話をして相手の
" 2割以上の発言 "
を否定的に捉えてしまうという
平均データーもあるぐらいです。
これが意味するのは
私たちの言葉は相手の心に届く過程で歪む
という事実です。
だからこそ
「なぜ?」
のように誤解を招きやすい
矢印をわざわざ選ばない。
誤解耐性の高い言い回しに置き換えて
誤差を最小化するのがプロの姿勢だと考えてます。
実務で使える言い換えの具体例
ここでは具体例を述べていきましょう。
「なぜ明るくしたいのですか?」
は
「どんな場面でどんな雰囲気に見られたいですか?」
へ。
「なぜこの長さにこだわるのですか?」
は
「日常でストレスが少ない長さはどのあたりでしょう?」
へ。
「なぜホームケアを続けたのですか?」
は
「選ばれた理由や続けやすかった点を教えてください」
へ。
「なぜ前回の仕上がりが気に入らなかったのですか?」
は
「どの部分が理想とズレて見えたのでしょうか?」
へ。
いずれも、相手の防御を起こさせずに
意思決定に必要な情報だけを取り出せます。
途中で感情線がふっと見えたら
ラベリング(気持ちを言語化して代弁する)
と
ミラーリング(要約して返す)
を一拍入れるとさらに深く本音へ近づけます。
「人から傷んで見えるのが怖い気持ちが大きいのですね」
「つまり、今日いちばん叶えたいのはツヤの回復ですね」
といった具合です。
ここまで整えば、提案は自然に受け入れられます。
「でしたら、今日は手触りより見た目を優先した手順にします。具体的には、〇〇の前処理を増やして、アイロン温度は△△度まで抑えます。仕上がりのツヤは一段上がりますが、手触りのピークは1週間後です。ここまでよろしければ進めますね」。
事実と感情を同時に
満たす説明が肝心です。
まとめ
カウンセリングでは「なぜ?」をしまい
・What
・How
・Which
で静かに扉を開いていくこと。
「なぜ?」
は悪ではありません。
ただ初対面で心理的安全性が
十分でない状況では鋭すぎる刃になりがち。
・私たちの目的は正しさを証明することではなく相手の理想を最短で叶えること。そのために言葉の矢印をやわらげる必要がある。
・誤解されにくい問い方と環境づくりは技術と同じくらい“ 効く ”投資。
いかに悪気のない攻撃的なニュアンスの言葉を減らせるか?
今回はそんな話でした。
ぜひ参考にしてみてください。