
お客様は様々な
お悩みを抱えて来店します。
時には解決できない悩みに
向き合うケースもあるでしょう。
ですが無理難題と思えるような悩みに対しても
'' 解決できるサイズになるまで分けていく "
ことができれば対応できる
ケースがほとんどです。
本稿ではお客様の悩みに対し
「明らかに解決できない」
と思ってしまうようなことでも
解決へと導く考え方を説明していきます。
小さく分けて解決していく
結論から述べます。
解決できないと思ったら
" 悩みを分ける "
という考えをもちましょう。
そもそもお悩みに対して
" なんでもかんでも全て解決しようとする "
という考えでなくて大丈夫。
もちろんその気持ちを
もつのは素晴らしいです。
ですが私たちは魔法使いでは
ないですよね?
お悩みすべてを1度に解決できません。
まずその考えを持っておく。
だからと言って諦めるなと
いうわけでもありません。
「解決できないかもしれない」
と感じる瞬間は
技術の限界ではなく
“ 問題の粒度 ”
が大きすぎるだけなんです。
お客様が抱える髪の悩みはしばしば
複数の要因が絡み合った合成課題
であることがほとんどです。
だからこそ全体を一撃で
片づけようとしない。
解像度を上げて
“ 解決できるサイズ ”
まで小さく分解する。
分けて、分けて、さらに分けていく。
すると意外なほど道が開けます。
例えばよくあるスタッフさんの相談として
”『クセはなくしたいけどボリュームおとしたくない』という方はどう対応したらいいですか? "
というケースがあります。
ここで
“ ボリューム ”
をひとかたまりの概念として扱うと、
・縦の高さを保つか
・横の広がりを抑えるか
どちらかを犠牲にせざるを得ない
二者択一に迷い込みやすくなります。
こうなると
「解決できない」
となりお客様の要望に
向き合えなかったりなんなら
否定してしまったりする
わけです。
それだとお客様はついてこないですよね。
考え方が狭いだけなんです。

考えを広げまずボリュームを要素に分けます。
例えばボリュームを分けるとなった場合、
こんな風に考えることができます。
・縦横のボリューム
・奥行きのボリューム
・前髪のボリューム
・結んだ時のボリューム
など
このように分けお客様が
・ボリュームを失いたくないポイント
・ここだけはボリュームが欲しい部位
・クセがとれるならボリュームを失ってもいいポイント
をお伺いします。
このようにしながらお客様の要望と
コチラの解決できるコトを
"擦り合わせて希望を一致"
させていくんです。
そうするとお客様も
「ここのボリュームはほしいけどココはいらないかな」
ってなったりします。
またもしこれで一致しないようなら
さらにサイズを小さくしていきます。

この分割思考を機能させる要は
カウンセリングの言語
です。
抽象語を具体語へ落とす質問を重ね
「ボリュームが欲しい」
=
・どの角度から見たときに?
・どの位置に?
・どの程度?
なのかを一緒に考えていきます。
たとえば
「結んだ時に耳後ろがスカスカに見えるのは避けたい」
「マスクをつける日は顔周りがしっかり出る方が安心」
「写真に写る自分の右側だけがいつも重く見える」
といった言葉が出てきたらもう解像度は十分です。
そこからはすり合わせの話になります。
前述のボリューム要素に落とし込み、
・どこを守り
・どこを調整し
・どこを削るか
を提示し、鏡とタブレットの写真で
確認しながら合意します。
合意形成は
“ できること ”
より
“やらないこと/できないこと”
を先に明確にする方がスムーズ。
必須な条件を固定しない限り
すり合わせできないからです。

よくあるケースですがボリュームって
分けるという考えがないと
"縦のボリュームのみ"
で解決しようしてしまうんです。
多くの美容師さんがやりがちな考え。
だからこそ行き詰まってしまう。
でもここに横のボリュームという考えまで
いれると解決方法は広がっていきますよね?
左のイラストはワンレングス、
そこにレイヤーまたはグラデーションを
入れることで
アウトラインの形が変わって
いるのがわかります。
つまり横のボリュームが上がり
頭頂部がペタンコに感じにくい
ようになっています。
こんなイメージです。
このような考えができると経験による感覚値
ですが無理難題な要望の9割は解決できます。
複雑な悩みを抱えたお客様ほど
美容室を転々としてる方が多いものです。
だからこそまず分けてあげる必要性は持っておいてください。
まとめ
問題を小さくするほど
解決は容易になっていく。
大きな問題は難しいけど
小さな問題は簡単でしょ?
です。
・縦
・横
・奥行き
・正面
・斜め
・横
です。
といった分け方で対応すれば
仕上がりも容易になりやすい。
また大きく解決するよりお客様との
ブレが少なくなりリピート率が上がる。
コレは経営にも言えることですが
大きな課題を小さく扱う。
この地味な姿勢が結局は
サロン経営の最短距離になります。
解決できないと感じたときほど
いきなり“ 正解 ”を探さないでください。
・悩みを分け
・要素を分け
・工程を分け
説明を分ける。
分けるたびに
・できることが増え
・合意が生まれやすくなり
・安心が積み上がっていく。
分割思考は魔法ではありませんが、
魔法が必要なくなるほど
現実を動かす力があります。
ぜひ試してみてください。