
美容室の仕事は接客業です。
突き詰めれば人の心理に寄り添い、
「安心して任せてもらう体験」
をつくることです。
技術のだけでは
リピートは決まりません。
「心理を理解して適切に対応していきたい。」
今回はそんな想いを持っている方へ
発達心理学を元に人が求める要素を
3つに分けて説明していきます。
人が求める3要素
発達心理学では人は誰しも
「見てもらいたい」
「聞いてもらいたい」
「分かってもらいたい」
という三つの欲求を持つと言われます。
逆に接客トラブルの大半はこのいずれか
が満たされてないときに起こります。
サロン現場でこの三つをどう扱うかを、
:具体的な振る舞い
・言葉
・段取り
に落として整理していきましょう。

まずは揉めている夫婦でもいいですし
ケンカしてるカップルでもいいです。
ぜひ想像してみてください。
だいたい3つのうちの
どれかしらが欠けてるものです。
ケンカしてる時にお互いかけていると
よりエスカレートしてしまいます。
逆に付き合いたての
カップルを想像してみてください。
よくいう
『1番楽しい時期』
というやつです。
この時期は
・お互いにその人の事をよく見て
・相手のお話しを興味持って聞き
・気持ちを分かろうと努力をして
こんな状態だと思います。
ただコレが徐々になくなっていき…
この先はいうのは控えますね。
さてそれではまず1つずつ
見ていきましょう。
1、見てくれない

1つ目の
" 見てくれない "
とは言いかえれば
" 気づいてくれない "
ともいえます。
理想は相手の変化や状態に
“気づいてくれている存在
”であることです。
サロンの現場で髪をキレイにした後
「これで旦那さんも喜んでくれますね!」
と私がお伝えすると
「どうせ気づかないわよ」
と残念そうに言う女性を多く見てきました。
みなさんも経験あると思います。
私もミディアムぐらいの長さで2センチとか
カットした状態を正直見分けられません。
このように男性が女性に対して気づかない
というケースは多そうですが実際には
「うちの母親は全然見てくれないんだ」
「嫁は俺の〇〇に気づいてないんだよ」
というケースもあります。
" 見てくれない "
というのは思ってるほどに
できてないことが多いようですね
かけもちで起こりやすいこと
コレ、サロンで同じことをしてしまうと
信頼は一気に揺らぎます。
最も起きやすいのは放置時間。
カラー塗布後にこちらが別席へ移ったまま
視線も言葉も途切れると
「私は置き去りにされた」
と受け取られやすい。
「前サロンだと美容師さんが私のカラーを塗り終わったら他のお客さんをカットしにいくんです、もちろん忙しいのはわかります、ただかなり放置されてしまって…」
このようなお話しをお客様から直接
聞いた事あるのではないでしょうか?
コレこそ
"見てくれない"
の典型的な例です。
対策は単純で、意図的に
「見ている証拠」
を残すことです。
タイマーをお客さまの目に入る位置でセットし
残り時間を数字で共有し、3分〜5分おきに一言
・「熱くないですか」
・「しみていませんか」
・「あと五分です」
を返します。
席の横を通るたびに軽く
会釈して目を合わせるだけ
でも安心感は生まれます。
これを徹底すると放置感の
クレームは実感で半減します。
行動を時間で可視化しておくと
忙しい日でも抜けにくくなリます。
2、聞いてくれない

「聞いてくれない」とはもちろん耳が遠くて
聞こえないから…という話ではありません。
" 要は話を聞かない "
っていうシンプルなコトですね。
そもそもなぜ人は話を聞けなくなるのか?
結論からいえば理由の1つに
距離が関係しています。
基本的に人は
"関係性が近く歴が長い人"
の話ほど聞きません。
正確にいうなら
『聞きません』
というより
『聞けません』
が正しいと思います。
見る聞くは会う回数に反比例する
例えば
A 毎日 会う関係
B 月1回 会う関係
この場合だとBの関係がより
相手の話と聞こうとします。
距離が近づくほど
慣れが前に出て
言葉の細部を取り落としやすいんです。
Aの関係は一緒にいればいるほど聞いてるようで
聞けなくなってくというのが人の性質。
・毎日生活を共にする夫婦関係
・毎日仕事を共有する師弟関係
・毎日時間を共にする親子関係
など会う回数が多い間柄ほど
" 相手の話が聞けなくなっていく "
のです。
もちろん聞くには聞くんですよ。
ただどうしても聞いてるようで
注意深く聞けなくなっていくんです。
「うちの旦那はものすごくよく話を聞いてくれるから離婚するわ」
ってならないですよね?
「話を全然聞かなくて…」
「何も聞いてくれなくて…」
だから離婚する…
こんな感じでしょう。
ただ案外そう言ってる張本人も実は相手の
話を聞けてないケースはよくあります。
だからこそ、意図的に
“ 距離を尊重する作法 ”
を採用します。
敬語とタメ語の違い
話を聞けない…
ではどうするかというと距離なんですね。
うちも距離を空けてます。
・スタッフ対スタッフ
・スタッフ対オーナー
よくお客様と仲良くなってくると
" タメ語 "
なる方がいますが「やめましょう」
と伝えています。
距離を尊重する・・・
敬語はそのための道具です。
敬語は
" 人との距離をへだて "
・相手に踏み込まない
・相手に踏み込まれない
配慮を表す働きがある話し方です。
タメ語になることで距離が近くなり
" 自分の話をしたくなるアクセル "
を自分で踏んでしまいます。
他にも敬語を使うのは
改まり意識を表すことで
"なれなれしい感じを避けるため"
でもありますので。
3、分かってくれない

最後はコチラ
『分かってくれない』
です。
もちろん分からないことはたくさんあります。
『分かってあげる』
とは言いかえれば
『寄り添ってあげる』
とも言えます。
現場でメニュー変更や提案する際に
"相手に寄り添うかどうか"
は非常に大切で相手の価値観を
自分の価値観に置き換えること
ではないので注意してください。
相手の文脈のまま気持ちの
位置に立ってみることです。
たとえば
「白髪は抑えたいけれど暗くはしたくない」
という矛盾をそのまま
否定すると対立が生まれます。
まずは価値
・若々しく見えたい
・肌を明るく見せたい
を言語化して共有しその価値を
守る案を一緒に探していく。
「顔周りは二トーン深く表面は透け感を残す」
「顔周りを優先し後頭部の白髪は次回に回す」
といった段階設計に落とせば多くの
“ご要望”
は実現可能な希望に変わります。
見ると聞くの違いは
わかりますよね?
でも分かってあげることと
寄り添うの違いは難しい。
例でいいましょう。
「サボテンが好きなんだよね」
と言われたら
「そうか、サボテンが好きなんですね、僕はネコが好きなんです。
サボテンのことはわからないけど
"僕がネコを好きなように"
アナタにとってはサボテンが好きなんですね」
これが寄り添うということ。
今は昔に比べて価値観が多種多様。
だから相手の好きなものを
分からなくても仕方ない。
サボテンはわからなくともモノを
好きになる気持ちに寄り添えればいい。
"お互いに好きなものがある"
という共通項を見つけることで
わかり合うことができるからです。
まとめ
技術を磨くのは美容師として当然です。
ただ、その技術が本当に価値になるのは
「見てもらえた」
「聞いてもらえた」
「分かってもらえた」
という
心の満足が先に満たされたときだけ
です。
3つを大切にすることは
人の自尊心を大切にすること
に繋がります。
本日のお話は
対 お客様
に対しての考え方で説明しましたが実際は
人間関係すべてにおいて共通する事です。
スタッフ 対 スタッフ
オーナー 対 スタッフ
スタッフ 対 お客様
全て人間関係。
ぜひ参考にしてみてください。