
写真は事実を可視化し
価値を伝える最強のアイテムです。
ただし
・ビフォーだけ
・アフターだけ
では
「どれだけ良くなったか」
を相対的に判断できず
体験価値が十分に伝わりません。
相対化=他のものと比べてそれを位置づけること
です。
本稿では
なぜ比較(相対化)が必須なのか?
そのために
・何を揃え
・何をするべきか?
を実務レベルで整理します。
すべて現場で今日から使えます。
なぜビフォーだけ/アフターだけはNGなのか
お写真を撮る際の意図と重要視してほしいことをお伝えします。
人は
「綺麗/汚い」
「速い/遅い」
「良い/悪い」
を比較して理解します。
つまり相対化されていない情報は価値が半減。
変化を実感することができないのです。
現状の問題は見えるが、どれだけ改善できたかが不明。
仕上がりは綺麗でも『お客様本人の“普段との差』が可視化されない。
比較がない=価値が伝わらない
であるからこそ
感動が弱く
・再来
・口コミ
・単価
に直結して響かない。
私たちが提供しているのは
「自分一人では叶えられない変化」
です。
だからこそ
ビフォー×アフターで“差分”を見せる設計
が不可欠です。
大原則:比較対象“以外”は変化させないように

お客様の髪の毛が比較するものになるので
それ以外のものはすべて
ビフォー/アフターで揃っている
ことが大切です。
アングル:正面/45°斜め/背面
(必要枚数を事前に決める)
距離:被写体から同じ距離
(床のテープで立ち位置固定)
高さ:三脚の高さ固定
(例:目線のやや上)
レンズ画角:スマホ等倍/50mm相当
(歪み防止)
明るさ:同じ照明・同じ位置
(自然光の混入は避ける)
背景:無地の壁一択
(同じ場所で撮ること)
姿勢:背筋・顎角度・肩のライン統一
髪の状態:耳掛け/前髪の分け目/結びの有無を統一
小物:クロス・タオル・ピン・アクセは両方で同一に
変化を見せたいのは髪の変化です。
これらを変えてしまうと、1番肝心の変わっている部分が分かりにくくなってしまいます。
それを主役にするため
条件は徹底的に固定します。
よくあるNG例
・ビフォーは耳掛け、アフターは下ろしている
・ビフォーはタオル無し、アフターはタオル有り
・ビフォーは頭全体、アフターは一部トリミング
→
差分が
・髪の変化なのか
・条件差なのか
分からなくなるため価値が伝わりません。
例えば
ビフォーでは耳かけの状態
アフターではおろした状態
で撮影してしまうと
" どう変化してるのか? "
が伝わりません。
"髪が綺麗になる変化"
を伝えるのであればビフォーもアフターも同じ条件でとるべきなんです。
1分で作れる定常撮影ステーション
床マーク:お客様/三脚の立ち位置に極細テープ
壁:無地・反射少なめ(グレー〜ライトグレー推奨)
照明:リングライトや定常光を固定(色温度・明るさは“固定”が鉄則)
三脚:スマホ用でOK(高さをテープでメモ)
チェックカード:”耳掛け/分け目/肩リラックス/顎角度”の4項目カードを壁に貼る
もちろんここまでする必要はないですが
こだわるのであればぜひ参考にしてください、
うちは簡単ですが撮影方法をマニュアル化しています。
「撮る場所に誘導→床マーク→撮影」
までをルーティン化しているので
スタッフ交代でも品質がブレません。

スマホ設定(安定優先)
HDR:OFF(差分が誇張されにくい)
露出:固定(オートで明るさが変わらないよう長押しでAE/AFロック)
レンズ:等倍(1x)のみ使用(広角は歪む)
編集:しない(色補正・美肌フィルタはNG)
フィルターや編集で誤魔化すと
悪評が立ちやすい
「あそこのサロンはフィルターや編集で誤魔化している」となる
撮り方テンプレ(声かけ+手順)
1)声かけ
「仕上がりの変化を分かりやすく残すため、ビフォー/アフターを同じ条件で撮影します。耳掛け・姿勢だけ揃えていきますね、お背中を椅子につけていただいていいですよ」
2)ビフォー
正面→斜め→背面(3枚)
耳・分け目・肩・顎を微調整し固定で撮影
3)アフター
同じ順・同じ距離・同じ高さで3枚
耳・分け目・肩・顎を微調整し固定で撮影
4)その場見せる
「ここが艶の差、ここが収まりの差です。
この差が本日の施術の差となります。ご希望であればお写真はLINEでお送りしますね。」

【伝わらないサービスはサービスではない】

伝わらない事をやっていても
無価値になってしまいます。
なぜ“伝わらない価値”は無価値になるのか?
その答えは価値とは
お客様の頭の中で完成する
からです。
私たちがどれだけ
・良い薬剤
・工程
・技術
を提供し仕上がりを良くしてもお客様が
・それを理解し
・それを納得し
・それを記憶
しないと価値にならないからです。
これが叶ったときにはじめて
“価値”
として成立するんです。
言い換えると
価値=提供内容 × 認知(気づき) × 理解 × 納得 × 記憶。
どこかが0に近いと
掛け算の結果はほぼ0です。
つまり
伝わらない=価値はゼロ
となる。
例えばうちの場合、薬剤をつけるときに用意されているコメントがあります。
なぜマニュアルに入れているかと言うと
伝えないとお客様が価値を感じられない
からなんですね。
良くある美容室のケースを
ここにあげましょう。
来店しカウンセリング
↓
効果や何をつけるかを説明せずに薬を塗布
↓
お客様はつけられているのは理解してるがそれが何かはわからない
↓
なんならそれがただの水なのか?
最高級のクスリなのか?全くもってわからない。
↓
そんなこんなで施術は終わり
↓
終わったときにアフターだけの写真をパシャリ
↑コチラだけをお客様にお見せする。
美容師さんは後ろから比較して見ていたので
”ビフォーよりも綺麗に変化した”
と十分に感じている。
逆にアフターだけのお写真を見させられたお客様は
(綺麗になったかな…でも私っていつもこんなもんだよな?…えっ変わったのかな?なんかいろいろクスリはつけてたけど…)
こうなってしまう。
↑なぜこんな気持ちになってしまうか?
・比較してないからです。
・説明してないからです。
繰り返します。
私達がお客様に提供しているのは
"ビフォー/アフターの変化"
です。
比較しつつ言語化する
理想的には写真を見せながら
「手触り(摩擦)の差はこちらです」
「光の反射(艶)の差はこちらです」
「収まり(ボリューム)の差はこちらです」
と伝えていく。
そうすることでお客様は
気づき、理解し、納得し 、記憶をする。
こうなると何万払おうが
納得してくれます。
まとめ
相対化とは価値の見える化である。
ビフォー/アフターは
・同条件
・同画角
・同距離
が鉄則。
撮影は技術の一部。
実況(目的→方法→効き目)と
差分の言語化で“伝わるサービス”へ。
チームで
・場所
・光
・手順
・言葉
を固定すると、再来・単価・口コミに効きます。
ぜひ参考にしてください。
