今日は、お金に対する考え方をお伝えします。

 

結論は明快です。

 

黒字かどうかより

 

預金が足りているか?

 

を最優先にしてください。

 

損益計算書の黒字は大切ですが、

 

突発事態を乗り切るのは損益の数字ではなく口座に残る現金だからです。

 

黒字でも倒れる、赤字でも続く――経営の現実

ご相談の場で

「手元資金は薄いが黒字なので大丈夫」

とおっしゃる方に出会います。

 

お気持ちは分かりますが、

これは危険です。

・ケガ

・病気

・家族の事情

・災害

・スタッフの同時離職

・設備の故障など

 

現場には予期せぬ

“ 止まる要因 ”

が常に存在します。

 

その瞬間に役に立たないのが黒字、

役に立つのが預金です。

 

・銀行振込

・給与

・家賃

・リース

・仕入れは会計上の黒字を待ってはくれません。

 

支払いは現金でしかできないからです。

 

反対に赤字でも
預金が十分あれば立て直せます。

赤字は“改善すべき状態ですが、
現金があれば時間を買えます。

 

施策を検証し、メニューを組み替え、

導線を修正する猶予が生まれます。

 

極端な例を出せば、

 

借入が1億円あっても預金が1億100万円あれば

 

即時に倒れることはありません。

 

一方で借入ゼロでも預金が100万円しかないなら、

数週間の売上停滞で資金ショートします。

 

倒産の直接原因は赤字ではなく、資金の枯渇です。

 

まず「何か月持つか」を出す

経営は不確実性との戦いです。最

初に確認したいのは、

固定費(家賃・人件費・水道光熱・通信・リース等)と、最低限の変動費を払いつつ何か月持つかです。

計算は単純です。

月のキャッシュ流出合計=固定費+(最低限の)変動費

ランウェイ(月数)= 手元預金 ÷ 月のキャッシュ流出合計

この数字が短いほど、日々の意思決定は守りに入り、チャンスに打てなくなります。

 

逆に、6~12か月のランウェイが見えていれば、

施策のABテストやスタッフ育成に腰を据えて取り組めます。

 

黒字の有無より、まずこのランウェイを伸ばすことが優先です。

 

 

「借金は怖い」

 

と感じるのは自然です。

 

ただし、使途と回収の線が明確であれば、

借入は事業を守るための保険であり、

攻めに転じるための時間になります。

 

重要なのは二点です。

 

第一、借りられるときに枠を確保すること。

業績が悪化してからでは条件が悪化し、必要な資金に届かないことが多いからです。

 

第二に、借りてすぐ使わない選択肢を持つこと。

手元に現金を置くことで

「絶対に潰れない状態」

を先に作れます。

必要時に素早く投下し、

不要時は寝かせておけばよいのです。

 

金利は“時間のコスト”と捉えましょう。時間が買えるなら、高くありません。

 

とってよいリスク/いけないリスクを“算数”で仕分ける

リスクはゼロにできません。

 

大切なのは、戻れるかといつ回るかで仕分ける視点です。

 

とってよいリスク

下振れ幅が限定され、撤退・縮小が容易。回収の数字(CPA、LTV)が描ける。学習が次に残る。

 

 

 

とってはいけないリスク

:高い固定費で後戻りが難しい。回収の線が曖昧。主観や雰囲気で決めている。一撃で致命傷になり得る。

 

たとえば物件の家賃。

 

18万円と11万円の差は月7万円、

 

年84万円。粗利率55%なら、毎月約12.7万円の売上上積みが恒常的に必要です。

 

雨の週や繁閑の波を考えると、これは大きな負担です。家賃は計画売上の1/10~1/12以内に抑えるのが、折れない運営の土台になります。

 

 

現金を厚くする実務:順序は「固定費 → 在庫・支払い条件 → 集客の線」

預金を厚くするのに近道はありませんが、順番を守ると早く安定します。

 

最初に固定費を下げる

(家賃・通信・サブスクの見直し)。

次に在庫回転と支払いサイトを整える

(仕入れは小さく短く、売上入金は早く)。

 

最後に**集客の“線”**を作る(検索×意図特化ページ→予約、の二段階導線)。

 

この三つが整うと、月末の資金繰りが読めるようになり、預金が自動的に積み上がる流れができます。

 

「黒字だから大丈夫」を卒業するための、月次3点セット

会計の専門知識がなくても実行できる管理の型です。

資金繰り表(今月の入出金予定と月末残高)

月次PLの簡易版(売上・粗利・固定費・営業利益の4行)

広告の線(媒体別の費用→来店→粗利の一覧)

この三点が毎月そろっていれば、

 

“黒字だけど預金が増えない”

 

という謎は消えます。

 

原因は

・固定費の過大

・回収の遅れ

・広告の赤字

 

どれかに必ず現れます。

 

見える化すれば、手は打てます。

 

結論:会社を守るのは利益ではなく現金。だから、預金を最優先に

黒字は目標、預金は命綱です。突発事態に備えるのは、理念でも根性でもなく、口座残高です。まずランウェイを確保し、借入は“時間”として適切に使い、固定費と回収の線を整える。これが、美容室経営を長く続けるための最短ルートだと考えています。

ご相談のご案内

当方では、資金繰り表の作成、家賃上限の設計、支払い条件の最適化、検索導線の整備まで、預金を増やすための実務を一気通貫でサポートします。黒字より先に「現金を厚くする」。その仕組みを一緒に作りましょう。

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