
カウンセリングでは初回の際1時間ぐらい
使ってお客様と向き合います。
この時相手の希望を聞くだけでなく
『自分が何をどこまでできるのか?』
をじっくり説明する必要があります。
なぜならこのやりとりの中で
" 相手の期待 "
と
"こちらのサービス内容"
をすり合わせていくことが必要だからです。
美容室の現場で起こる
・不満
・クレーム
の多くは、技術の上手い下手よりも
「期待値と結果の差」
によって生まれます。
式にすれば満足とは
満足 = 結果−期待
となる。
結果を上げる努力は当然として同時に
「期待」
を一緒に見直すことが擦り合わせの本質。
相手の「したい」を聞くのはもちろんですが
私たちが
「できること」
「安全にできないこと」
「段階を踏めばできること」
を言語化し同じ地図を手にしてから進む。
その積み重ねが、心地よい関係を長く保ちます。
今回この擦り合わせ方に
ついて説明していきます。
グラデーションで考える
「彼はわがままだ」
「彼女は短気だ」
よくこうゆう言い方や考え方をすることってあると思います。
" 人の性格を固定的 "
に考えてしまう。
0か1で決めつけると会話の
出口がすぐに塞がります。
例えばある人が
「彼はわがままだ」
といったとしましょう。
でも実際は
「彼はわがままだ」
「彼はかなりわがままで強調性がほとんどない」
「彼はわがままな一面もあるが頼めば協調してくれる」
「彼はそこそこ強調性がある、しかし稀にわがままな一面がある」
「彼は強調性がありわがままは言わない」
というように幅を持たせて
考えることもできますよね。
このように解釈に広がりを持たせ
グラデーションで考えることで人と
"うまく擦り合わせていく"
ことがしやすくなります。
間には無数の濃淡があるんです。

上記の画像もそれを表しています。
・あの人は1である
・あの人は0である
という0/1の考え軸ではなく
0.3や0.5、0.7、へたしたら0.81もある…
こんな考え軸。
ヘアの好みで言うのであれば
「短く」
「軽く」
「自然に」
といった大きな言葉の中にも、
長さは
・短いのか?
・やや短いのか?
軽さは
毛先だけなのか?
中間からなのか?
自然は
・まとまり重視なのか?
・動き重視なのか?
という幅がある。
擦り合わせとはこの幅を
一緒に縮める作業です。
擦り合わせに時間がかかったり
人間関係で事故が起こってしまう。
これは解釈に幅をもたせた考え方を
コチラがもってない際に起きることです。
相手の細かさを確認する

ヘアスタイルで考えていきましょう。
「肩まで切ってください」
美容室ではお客様と長さの
擦り合わせが重要ですよね。
例えば肩といっても上記の写真で
表しているゾーンは全て肩になる。
イラストだと緑色の矢印に長さが
設定されていますが矢印より
'' 上でも下でも肩の長さ "
と言えます。
ここで意識すべきポイント1つ。
相手が
" どのくらいの細かさで物事を考えてるか? "
をカウンセリングで見立てることです。
・大雑把が良い
・細かいが悪い
ではありません。
ただ
「こちらが大雑把、相手が精緻」
だと小さな差が積もって
大きなストレスになります。
相手が大雑把でコチラが細かいなら⭕️
コチラが大雑把で相手が細かいなら❌
後者の場合だとお客様はその
スタイリストからいずれ離れます。

結論、お客様の要望に対して少し細かいぐらいで考えてあげると
" 擦れちがい "が起きにくく
" 擦りあわせ "がうまくいく
と言えます。
勘違いしてほしくないのは
"なんでもかんでも細かく対応しましょう"
と言う話ではないこと。
・どのくらい細かいか?
・どこを細かくして欲しいか?
を確認したり予測することが
重要と言う話です。
許容を確認する
許容にも人によって個人差があります。
ですので初回の際に
「長さの許容幅」
をお伺いするのが安心でしょう。
「理想から上下どのくらいズレたら気になりますか?」
1センチ?
2センチ?
5センチ?
これで
“ こだわりの解像度 ”
が掴めます。
私たちは長年の勘や経験で
その人のこだわりを推測しますよね?
結論、コレが良くないんです。
でもこだわりの推測って
ほとんど出来ないと思っています。
だからこそ許容具合を
聞いちゃえばいい。
聞いた上で
許容幅が1センチの方には
切り出しを控えめにする。
そして途中で一度
ミラーで確認します。
許容幅が5センチの方には
・シルエット
・再現性
といった別の軸に時間を割きます。
相手の解像度に合わせて
話法と段取りを変える。
これが擦り合わせの実務です。
まとめ
擦り合わせのゴールは
“ 理想形の一致 ”
ではなく
“ 満足の安全圏の共有 ”
だと考えてください。
理想は揺れますしズレます。
・季節
・仕事
・生活リズム
そして気分。
今日の最適はいつかの
最適と違って当然です。
擦り合わせは
関係づくりそのもの。
相手の解像度に合わせて
・ことばを選び
・目で共有し
・途中で確認し
終わったら記録する。
期待値と現実の“ あいだ ”も丁寧に埋めていく。
”人は間にいる”
と言う考えを持ちながら
擦り合わせていけば
「思っていたのと違う」
は
「思っていた以上だった」
に変わります。
“ 擦り合わせの技術 ”を磨く。
そうして積み上がった信頼は
リピートという形で必ず返ってくる。
ぜひ参考にしてみてください。