サービスは
「伝わって」
初めて価値となります。
同じようにどれだけ正しい説明をしても
お客様に伝わっていなければ、それは
“ 説明していない ”
のとほぼ同じこと。
美容室の現場では、こんなシーンがよくあります。
お客様「この写真みたいな色にしたいので、お願いします」

実際に見せていただくと、上記のような
かなり明るめで透明感のあるダブルカラー系。
一方で、目の前のお客様の髪は、
・地毛に近い5〜6トーン
・カラー履歴が残ってる髪
・ダメージが残っている髪
心の中では、
(うーん…1回のカラーでここまでは正直むずかしいな…)
とスタイリストは感じている。
こんなケースよくありますよね?
困りませんか?
どう伝えたらいいのかって。
けれど、その
「むずかしさ」
をどう伝えるかで
・仕上がりへの満足度
・次の予約
・口コミの評価
も大きく変わってきます。
だからこそぜひ、
ここで伝え方のテクニックを紹介します。
せっかくだからタオルを使おう

ここで使えるのが
「タオル」
を使ったお話しです。
これは、専門用語をあまり使わずに、
誰にでもイメージしやすい形で
「髪の下地」
の大切さを伝えるためのひとつの“型”です。
まず、大前提として押さえたいのが、
カラーの仕上がりは大きく分けて
「薬剤」
と
「髪の状態(=下地)」
この2つで決まる、ということです。
同じレシピ、同じ時間で塗布しても、
🟢ブリーチを2回している髪
🟢一度もカラーをしていないバージン毛
では、まったく別物の仕上がりになります。
この「下地の違い」を、そのまま説明しても、
お客様にはなかなかピンときません。
そこで「タオル」の出番です。
タオルで“下地”をイメージしてもらう

髪の明るさの違いを、
”4枚のタオル”
に置き換えて考えてみます。
・ホワイトのタオル
(かなり明るくブリーチされている状態)
・ベージュのタオル
(10〜12トーンくらいの明るめの髪)
・ブラウンのタオル
(6〜8トーン、一般的なブラウン系)
・ブラックのタオル
(4〜5トーンの地毛に近い髪)
ここに赤・青・緑のペンで線を
引いてみるイメージをしていただきます。

・ホワイトのタオルならどの色も
ハッキリ、鮮やかに見えます。
・ベージュなら少しクリアさは落ちるけれど
「赤」「青」「緑」の違いは分かります。
・ブラウンになると
「なんとなく色は違うけど、全部ちょっとくすんで見える」
状態になります。
・ブラックではそもそも何色で書いたか
ほとんど分からない、という状態です。
実際の現場でいうと、
・日本人の地毛はおおよそ
4〜5トーンと言われることが多いです
・6〜8トーンのブラウンはお客様からすると
「そこそこ明るい」
印象ですがプロ目線では
「まだまだ下地が暗い」領域です
・インスタグラムなどでよく見る透明感カラーは
10トーン以上の明るさがあるケースがほとんどです
ってなる。
つまり、同じ
「赤味を抑えたベージュ」
にしたくても、
・ホワイト(ブリーチ2回以上)にのせるベージュ
・ブラウン(6〜7トーン)の地毛にのせるベージュ
では、まったく別の色に見える訳ですね。
6〜8トーンあたりのブラウンのタオルに
・赤
・青
・緑
のペンで線を引いたとします。
ホワイトタオルのときほどの違いは出ません。
赤も青も緑も
「なんとなく違うけど、全部ちょっと濃い茶色が混ざったような色」
に見えてきます。
カラーの現場でもよくある、
「どの色を入れても、なんか全部似たようなブラウンに落ち着く」
という現象は、まさにこの
“下地のブラウンの分厚さ”
が原因。
だからこそ私はまずお客様に
「正直だいたいどれも茶色に見えますよね?」
って先にお伝えします。
これは、投げやりな意味ではなく、
「今の下地のままだと、薬を変えても“見え方の差”が小さいですよ」
という、かなり本質的な話をわかってもらいたいからです。
「1回でできますか?」への伝え方が“サービス”
お客様は写真を見ながら、
シンプルにこう思っています。
「この写真みたいな色になれるならうれしい」
ここで、スタイリスト側が
「それは無理です」
「黒染め履歴があるのでできません」
だけで終わらせてしまうと、
・断られた感だけが残る
・「この美容師さん、なんか否定的…」という印象
・リスク説明をしたつもりが、
ネガティブな空気だけ強く残る
という結果になりがちです。
一方で、同じ
「1回では難しいです」
を伝えるにしても、
「タオル」
の話を使って説明すると
印象がガラっと変わります。
例えば、こんな伝え方ができます。
「すごく素敵なお色ですね。今のお客様の髪の状態ですと、今日1回のカラーで“近づけること”はできますが、お写真と“同じ透明感”までもっていくのは、正直にお伝えすると難しいです。」
と言う結論から伝えて
「髪の色って、実は“塗る薬”と“髪の下地”で決まってくるんです。分かりやすくお伝えするために、髪の明るさをタオルで例えてもよろしいでしょうか?」
ここで、
ホワイト・ベージュ・ブラウン・ブラックのタオルを実際に使って
「今のお客様の髪は、この4枚でいうと“ブラウン寄り”なんです。 ブラウンのタオルに赤や青のペンで線を書いても、ぜんぶ少し茶色っぽく見えてしまうように、 今の髪の下地だと、どんな色をのせても“写真ほどの透け感”は出しきれないんですね。」
お客様もなるほど〜ってなる。
「お写真のように、もっと色味の差や透明感をハッキリ出すためには、ホワイトやベージュのタオルに近づける、つまり“下地を先に明るくしておく”必要があります。」
この説明ってめちゃくちゃ
わかりやすくないです?
このように、
「できません」
ではなく
「なぜ難しいのか」
「どうすれば近づけるのか」
を、タオルというイメージしやすい
例えでお伝えすることで、
・お客様が自分の髪の状態を理解できる
・カラーの限界だけでなく“可能性”も伝えられる
・結果として、提案メニューの幅が広がる
というメリットが生まれます。
説明のうまさは「技術力の見え方」に直結する
同じ技術、同じ薬剤を使っていても、
・事前に
「どこまでいけるか」
「どこから先は別メニューになるか」
をきちんと伝えているサロン
・なんとなく
「やってみます」
でスタートしてしまうサロン
では、仕上がりの評価が大きく変わります。
前者の場合
「今日はここまで・次回はここまで」
というゴール設定を共有しているので、
想定どおりの明るさになれば
「話していた通りですね」
と信頼につながる
・お客様自身も
「今日は第一段階」
と理解しているので、満足度が下がりにくいという状態になります。
後者の場合
・お客様は“写真そのもの”をゴールだと考えている
・スタイリストだけが現実的なラインを知っている
というズレがあるため、
仕上がりが悪くなくても、
「思っていたより暗い気がする」
「写真みたいにはなっていない」
という不満につながりがちです。
この差を生むのは
薬剤でもカットでもなく、
「どれだけ分かりやすく伝えられたか」
という説明の技術です。
「タオルの話」は、そのまま武器になる
タオルの例え話が使いやすいのは、
・専門用語をほぼ使わなくても通じる
・お客様の頭の中に“映像として残りやすい”
・一度覚えればスタッフ全員が同じように説明できる
という点だからです。
特に、スタッフ教育の場面では、
・まずはこのタオルの話を“共通言語”にする
・モデルレッスンやカウンセリングの練習で、
必ずこの例えを使って話してみる
・実際のサロンワークで
「うまく伝わった例」
「伝わらなかった例」
を共有する
といった形で説明のレベルを
揃えていくことができます。
説明が揃うと、
・誰が担当しても、一定以上の納得感を出せる
・新規のお客様も「このサロンは説明が丁寧」と感じやすい
・結果として、再来率や客単価の平均が底上げされる
という
サロン全体の強み
になっていきます。
まとめ
「サービスは伝わらなければ意味がない」
これはそのまま
「説明」
にも当てはまります。
カラーの仕上がりを決めているのは、
薬剤だけではなく「髪の下地」です。
ホワイト・ベージュ・ブラウン・ブラックの4枚のタオルに、
赤・青・緑のペンで線を引くイメージを使うことで、
・なぜ1回のカラーでは写真どおりにならないのか
・どうすれば写真のような透明感に近づけるのか
を、お客様に視覚的・感覚的に伝えることができます。
6〜8トーンの“ブラウンのタオル”のままでは、どんな色をのせても「だいたい茶色」に見えてしまう。だからこそ、ブリーチや明度アップの工程が必要になる。
この“理由”を丁寧に説明できるサロンは、
・仕上がりへの納得感が高まり
・クレームや「思っていたのと違う」のギャップが減り
・再来や紹介につながりやすくなります。
技術を磨くことはもちろん大切ですが、
その技術の価値を「どう伝えるか」
を磨くことも、同じくらい重要です。
タオルの話は、
そのためのシンプルで強力なツールです。
スタッフ全員がこの例え話を
使いこなせるようになる。
するとサロン全体の説明力が底上げされ、結果として
「選ばれる美容室」
に近づいていきます。
ぜひ参考に。