美容師がおこなうカットに関して

美容師のキャリアは多くの場合

「シャンプーから始まり」

「最終的にカットを任される」

という順路をたどります。

専門学校を出て就職し
サロンワークの末に到達する最終科目

 

それがカット。

 

業界では技術の集大成とされてきました。

 

なぜならカットが様々な意味で
最重要とされ

 

技術の集大成のよう

 

に考えられているからです。

 

入社しカットをマスターするまでに
要する年月は2年〜5年。

 

なんなら5年以上もかけ練習では

 

ウィッグで100体とか切る

 

わけですね…

 

努力そのものは尊いのですが
この育ち方は良くも悪くも

 

“ 技術重視 ”

 

というレンズを生みます。

 

長い年月をかけて

 

「カットこそ最重要」

 

という価値観が骨の髄まで染み込む。

 

・リピートの不調

・売上の伸び悩み

 

が起きたとき原因をほぼ反射的に

 

「技術不足」

 

へ結び付けがちです。

技術

技術

技術

技術

技術

技術

という価値観を長い年月をかけて作り上げてしまう…

多くの美容師さんにお会いして
とても強くコレを感じます。

価値観を変えていく

ぜひもっている価値観や目線を
変えてもらいたいと思います。

 

リピートを叶えるための答えが
技術にあると思いがちです。

 

ですが美容室の技術というのはあくまで

 

土台に接客があって
その上に技術があるもの。

 

つまり接客が良くなければ
いくら技術があってもダメ。

 

逆に

 

技術が未熟でも接客が良ければ
リピートしてもらえる

 

↑コレこそ分かっていただきたい部分です。

 

現場でお客さまが評価しているのは

 

“ 技術単体 ”

 

ではなく

 

“ 体験全体 ”

 

です。

 

私どもの実感では滞在時間の中で
カットが占める比率は全体の2〜3割。

 

このぐらいにとどまるケースが多い一方

・シャンプー、ブロー

・薬剤塗布

・カウンセリング

 

といったプロセスが70〜80%を占めます。

 

言い換えると多くのメニューで
仕上がりの印象や満足度は

 

カットに到達する前の工程でほぼ決まる

 

ということが言えます。

 

通常のサロンの場合、1番重要と
考えられているのはカットです。

1、カット

2、アイロン&パーマ

3、薬剤塗布

4、シャンプー

こんな順番ですね、でもうちは異なります。

 

価値観が逆。

 

もちろん全てが大切というのは前提とした上で

 

1、シャンプー

2、薬剤塗布

3、アイロン&パーマ

4、カット

 

うちはこの順番でなんなら1の
シャンプーの前に接客や考え方がきます。

 

図のとおり工程の並べ替えは
単なる手順の好みではなく

 

体験の流れ

 

そのものです。

なぜ考え方が最重要なのか?

最初に接客と考え方を据えるのは
ここが体験の土台だからです。

 

・質問の仕方

・提案の仕方

・言葉の選び方

・理論の説明方法

 

こうした

“ 見えにくい技術 ”

は見える技術よりも早く
お客さまの評価に直結します。

 

実際、ある50代の熟練スタイリストの方から

 

「技術は相当磨いたのに再来が伸びない」

 

とご相談を受けたことがありました。

 

料金は

・3,670円

・リピートは20%

という数字でした。

 

拝見した技術は確かに高度。

 

カットのこだわりが高すぎて
もはや1周まわってなんだか分からない汗

 

ただそれなのに最初の接遇で服の
預かりが粗く声掛けもそっけない。

 

私がお伝えしたのは技術論ではなく

「預かり方を丁寧に」

「安心の言葉を先に」

の二点です。

 

技術を否定するのではなく
体験の入口を整える。

 

これだけで、同じ技術が

“ よく見える ”

状態をつくれます。

 

終わった後、ご本人はキョトンとした様子。

オーナーさん

「あの〜もうちょっと技術のことについて言われるのかと思ってました」

じぶんの技術に問題があって
リピートしないと思ってたんでしょう。

 

このように考え方って大切です。

 

解釈の違い

ここの解釈がズレてるとお客様に
提供すべきものを誤ってしまう。

なので話を一文でまとめましょう。

 

" カットがいい ”

 

から

 

" いい店 "

 

になるのではありません。

 

" いい店 "

 

だから

 

" カットが良い "

 

ってなるんです。

 

接客と考え方という土台の上に、
技術を乗っけて完成させる。

 

この順で体験を設計すると
お客さまの評価は自然に上がります。

 

実際、当店では他のサロンで働いていた子が
入社以降、ほとんど次回予約を取るように。

月によっては100%の次回予約率に
達することもあります。

 

これは技術レベルを引き上げたからではなく

・工程の見せ方

・接客の感じさせ方

・体験の順番

 

を変えた結果です。

 

ぜひカットにあなたがこだわっているのであればまず先に

「丁寧な導き」

「声掛けの順番」

「おもてなしの仕方」

「お客様に対しての姿勢」

「説明の仕方や基準」

 

などを確認してみてください。

カットのテクニックを伸ばすより
そっちの方が十分に伸びます。

 

順番を変えると学びの
費用対効果が目に見えて高まる。

それが努力を

 

確実に成果へ変える最短路

 

だと考えます。

 

ちなみにうちの場合、ショートも少ないですから尚更カットの重要度は低くなります。

毛先が顔から離れれば離れるほどカットの影響力は低くなっていきますから

 

まとめ

接客やカウンセリング、

所作や言葉づかい

が整ってはじめてカットが正しく評価される。

順序を間違えると、あなたの技術が過小評価されてしまいます。

「カットが良いから良い店になる」

のではなく

「良い店だからカットが良く見える」

これを胸に最初の一歩を

 

“技術”

 

ではなく

 

“体験”

 

から始めてみてください。

 

数字は正直です。

初回の印象が整えば、

 

・クレームは減り

・再来は伸び

・単価は自然に上がる

 

ようになります。

 

今日、カットの理論に一切触れなくても
明日の評価は上がります。

工程の順序を変える・・・

それだけで、努力の価値は見違えるほど
伝わるようになります。

 

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