
次のような事をみた時に
どのように感じますか?
・裏から店内に入る時立ち止まって
「いらっしゃいませ」
と声かけするスーパーの店員さん
・給油の後、お客様の車が
みえなくなるまで頭を下げ続ける
ガソリンスタンドの店員さん
・お客様の名前を
大声で呼んで対応する
和菓子店の店員さん
こう言ったことが本当に
お客様のためになっているのか?
マニュアル上は
「良い接客」
に見えても本当にお客様のために
なっているとは限りません。
大切なのは相手の
・状況
・期待
・気分
に合わせて
“ 臨機応変に最適化されたふるまい ”を
選べているかどうかです。
本稿では
「お客様が何を求めているのか」
を宿泊業の例をもとに
美容室に落とし込んでいきます。
また最後に
“ 次回予約 ”
まで自然につながる
具体的な動線を提示します。
規模で変わる価値
例えば
・誰もが知る高級ホテル
・地方の小さな旅館
では泊まること自体は一緒ですが
関係を築くポイントは異なります。
誰もが知る高級ホテルは
・高級レストラン
・高級ラウンジ
・完成度の高い設備や空間
がありそこに泊まることで
得られるステータスがあります。
SNS映えする写真がたくさん撮れて
フォロワー数も上がりそうですね。
つまり「Where」が重要。
一方で「Who」の重要度は減ります。
高級ホテルの接客は感動を与えてくれる
ホスピタリティであると思いますが
「その人がいるからまた来よう」
とはあまりなりません。
ところが地方の
・小さな旅館
・個人で営んでいる民宿
などは「Who」がより大切になってきます。

小さなな旅館が高級ホテルと同じような
アプローチをするとうまくいきません。
そもそもお客様の求めるものが
異なっているからです。
どちらかというと親近感の方が大切。
・出会いや帰り際の一言
・その人との世間話や雑談
・顔と名前を覚えてのお声かけ
人を介した温度が
“ また来たい ”
を生みます。
美容室もまったく同じです。
大型店ほどWhere要素が信頼を生みます。
個店に近づくほど
「あなたに切ってもらいたい」
「あなたに相談したい」
というWhoの比重が増します。
規模が小さいサロンほど
・担当者の記憶
・担当者の言葉
などがリピートを左右するんですね。
高級サロンや大手サロンは
(Where)
が体験の主役になりやすく担当者が誰か?
(Who)
の比重は相対的に下がります。
もっと簡単に述べるのであれば
" お店の規模が小さくなればなるほど
お客様とスタッフの関係性が重要 ”
になるといえます。
旅館からわかる次回予約の重要性

新潟にある旅館の話です。
その旅館は
・お客様は喜んでいたのにリピートしない
・お客様は笑顔なのに戻ってきてくれない
こんな悩みを抱えていました。
お客様を満足させるには?
より高い付加価値を与えるには?
とオーナーは日々悩み改善していったそう。
「いったいどうしたら満足してくれるのだろうか」
実はこのオーナーのこの問い・・・
これ自体が誤りだったのです。
なぜか?
それは実はお客様が満足していたからです。

この旅館オーナーは外部の
コンサル会社に調査を依頼。
それで分かったことは顧客が
" 満足して帰っていた "
という事実。
つまり満足することは
もうすでにやっていた。
では売上を上げるためにどうすれば?
それが次回予約。
リピートを獲得する方法は実はシンプルで
「営業」
すればいいだけ。端的に
「次はいつ泊まっていただけますか?」
と聞けばいいだけだったんですね。
ということでさっそく
次回予約をお伺いすることに。
ところが営業をしても
予約がなかなか入らない。
そこで営業の形を変え最終的にきまったのが
帰りのフロントでこう営業することだったそう。
「〇〇様、実は半年後に紫陽花がキレイな時期がありまして当スタッフもいつもこのシーズンを楽しみにしているんです。その時期の予約は普通はもう取れないのですがたまたまご夫婦さま向けのお部屋が少しだけ空いておりまして⋯⋯。もしよろしければいかがでしょうか?今回ご宿泊いただいているのでせっかくまたお越しいただけるなら特別な時期にと思いまして」
コレを温泉と料理に満足して
「今から帰るよ」
というタイミングで営業をするんです。
温泉と食事で満たされた
“ 最高のタイミング ”
で
・具体的に
・限定的に
・相手の喜び基準に紐づけて
提案をする。
この提案を聞いて嫌がる人は
どれぐらいいるでしょうか?
調査ではこの提案を受けて多くの人の
満足度が高かった事が分かっています。
また驚くことに
" この営業を断った人ですら "
フロントでの
「営業体験」
をポジティプに捉えていた、
というのが調査でわかっているのです。
これは旅館での一例ですが
美容室でも本質は同じです。
次回予約について

私は皆さんに次回予約を
おすすめしています。
それは既存であっても
新規であっても。
基本的に美容室の売り上げというのは
" 次回予約本数>キャンセル数 "
になれば伸びていきます。
ただこうお話しすると
「次回予約を取らないお客様もまた来てくれるよ」
という意見もあるでしょう。
これについて掘り下げていきます。
予約のハードルは想像以上に高い
実は予約をとるという行為は
物凄くハードルが高いものです。
新規も既存も
『予約を取るって行為』
そのものが普通の人から
したらめんどくさい。
商売においてこんな格言があります。
お客様は
『いつ』でも買えると思って
『いつ』までも買わない
これを美容室に当てはめるのであれば
お客様は
『いつ』でも予約できると思って
『いつ』までも予約をしない
です。
・電話
・LINE
・WEB
の手段が増えても日程調整や
意思決定の手間は残ります。
だからこそ退店直前という
意思決定コストが最も低い瞬間
に日付を具体的に名指しして
提案するのが最も合理的です。
現場で使える一言
「今日は根元の伸びが約〇〇cmでした。次は5〜6週間後(〇/〇〜〇/〇)がキレイを保てます。土曜の午前に一枠だけ空きがありますが、押さえておきましょうか?」
「梅雨前に広がり対策を先回りすると快適です。来月の前半、たとえば〇/〇(水)11:00はいかがでしょう。」
”いつか”
ではなくこの日・この時間を提示する。
さらに相手の暮らしのイベント
・入学式
・出張
・旅行
・写真撮影
などに絡めると提案の
受け取り価値が跳ね上がります。
サインは約束のスイッチになる
人は、自分の名前で署名した事柄を
守ろうとする傾向があります。
うちは次回予約のサイン表に
フルネームでサインいただく
ようにしています。
約束の自覚を高め来店の行動を
後押しする“スイッチ”になるからです。
美容業界の現場統計では
半年で3回同じサロンを利用
するその後2年間で10回以上利用する割合が
約7倍に伸びる
傾向が示されています。
最初の3回は言い換えれば
「習慣化の助走」
です。
この助走を次回予約で途切れさせないことが
LTV(生涯来店回数)
を押し上げる最短経路です。
まとめ
規模が小さいほど
人対人の温度
が価値になります。
もしあなたが小さなサロンを
経営されているのであれば
“ どこで切るか ”
から
“ 誰に任せるか ”
で勝負していくこと。
お客様は
『いつ』でも予約できると思って
『いつ』までも予約をしない
です。
美容室の売り上げは
" 次回予約本数>キャンセル数 "
で伸びていく。
次回予約の仕組みを作ること。
・現場で使う声かけ
・退店直前の具体的な日付提案
・フルネームのサイン
・24時間以内のフォローメッセージ
この4点で運用を整えれば満足はリピートに、
リピートは売上に、確実につながっていきます。